8月の夏季休暇は、毎年恒例の軽井沢に行ってきました。今年は外国人旅行者の姿も見かけるようになり、完全にコロナ禍前の活気を取り戻していました。今回、嬬恋高原のゴルフ場まで行きましたが、キャベツの収穫作業で外国人農業実習生が働いていました。都市部の飲食店や建設業同様に、地方でも外国人が重要な労働力となっています。
日本で働く外国人労働者はコロナ禍で一時的に鈍化したものの、一貫して増え続けています。外国人材の雇用に関しては「国際協力の一環」という名目の技能実習制度と、「国内の人材不足解消」の為の特定技能制度の二つの制度があります。しかしながら、技能実習制度は一部ではあるものの低賃金・長時間労働やパワハラ等の問題を抱え、実習生の失踪や途中帰国を招いています。また特定技能は、日本人の雇用を奪わないようにとの配慮から、特に人材確保が難しい14の産業分野に制限されています。
しかしながら、少子高齢化が進展する中で社会保障制度を維持するためには、外国人材の雇用拡大と労働環境の信頼解決は不可欠です。現在、日本政府も有識者会議で技能実習を廃止した上で、特定技能の業種拡大や改善を検討するなどの議論を進めています。介護サービス分野においては、現在、外国人による施設内での介護サービスは可能ですが、訪問介護に限っては、利用者と日本語でのコミュニケーションが不安視されることなどの理由で活用対象外でした。最近、厚生労働省が訪問介護もできるように検討しているとの報道があり、毎年5万人規模で不足する介護人材の解消に繋がる制度変更になれば良いと思います。
リーマンショック後の人材派遣業界では、主に製造業の工場へ安価な労働力と大量の人材確保の手段として、中国から始まりインド・ブラジル・バングラデシュと外国人労働者の採用を次々と拡大しました。当社には対象となる派遣スタッフや介護職員は存在しませんが、特定技能制度の職種が拡大されると対応が必要になる可能性もあるでしょう。
今後、外国人労働者の活用に関しては、円安に硬直的な日本の賃金制度や低成長による国際競争力の低下等が重なり、「安価な労働力」といった認識では採用が出来なくなっていきます。従来から、私は日本で勤務して日本人と同じ仕事するのならば同じ労働条件で雇用するべきと考えていました。人材サービス会社は雇用の創造が使命であり、例え外国人であっても社会的弱者を作る企業であってはならないと思います。全ての労働者も、それを受け入れる企業も、ともに豊かに暮らせる社会を実現する必要があるのではないでしょうか。
日本リック株式会社
代表取締役 日高一隆