多様性と調和

8月に「東京オリンピック」、先月には「パラリンピック」が閉会しました。以前は感染症の収束が見通せない中での開会を疑問に思っていましたが、主役であるアスリートにとって出場すること自体や、メダル獲得を人生最大の目標にしてきた人が大多数でしょうし、一生に1度だけのチャンスであった選手も数多くいたでしょうから、開催する意義は充分にあったと思います。私自身、実際に開催されると、テレビを通してではありますが、楽しませて貰いました。

今大会は、競技だけでなく、ジェンダーやダイバーシティに対する差別発言が、大いに注目された五輪であったように思います。森喜朗氏の発言は大きなニュースになりましたが、開会式直前に楽曲制作を担当するミュージシャンが障害者を差別していた事実が表面化し辞任。会期中も、ドイツの自転車競技コーチが中東の人への侮辱的発言で帰国し、ギリシャ公営テレビは、韓国人への差別発言で番組を終了しました。

東京オリンピックは、開会前から「多様性と調和」を掲げていました。しかしながら、実際の日本社会においてはどうでしょう?我々の事業領域でも、人材ビジネスでは外国人労働者が増える一方で、劣悪な労働環境や失踪等多くの問題が指摘されています。介護業界では、障がい者や認知症の高齢者に対する暴力が度々ニュースになるなど、ダイバーシティの実現・調和には、まだまだ至ってはいないと感じます。

私達人材ビジネス企業・介護事業者は、多様な人材を受け入れて活躍して頂かなくてはならない業界の先頭にいます。人口減少が進む日本において、外国人労働者はじめ、多くの人達に労働市場への参加を促すこと、介護業界では超人出不足状態が将来的にも続く中、ダイバーシティの活用を積極的に進める必要があります。多様な人材に目を向けられれば、人材の採用確率も上がるからです。更には、高齢者介護・障がい福祉サービスの理念は、利用者の方が地域でより自立した生活を送ることができるように支援することであり、多様性社会の実現に向けてお手伝いをすることです。

東京オリンピックが掲げた「多様性と調和」が、掛け声だけで終わってはいけません。多様な人材に労働参加していただく企業としても、また支援する企業としても、ダイバーシティが自然に受け入れられ、その表現自体が使われなくなる社会が来ることを願ってやみません。

日本リック株式会社
代表取締役 日高一隆

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