「自利」と「他利」

ドナルド・トランプ氏がアメリカの大統領に就任しました。経済・外交で「米国第一」の政策を再び推進させると宣言し、パリ協定・世界保健機構からの離脱や不法滞在移民の強制送還の強化、輸入品の関税引き上げを公言するなど、第一次政権時と同様の政策を進めています。

その中で、「バイデン政権で進めたDEI(多様性・公平性・包括性)は人種や性別を社会的に操作する政策だ」として撤回して、アメリカを実力主義の社会に戻すと発言しています。それに呼応するように、トランプ政権の発足が近づくにつれて、いくつかの企業が、アメリカの多くの大企業が取り組んでいた「DEI」の取り組みを転換することを発表しています。

この方向転換は、日本企業にも同様の変化はあるのでしょうか?

私はブログでも数回、取り上げていますが、世界最速で労働生産性人口の減少が進み、人手不足が社会課題となっている日本で、あらゆる人たちに労働市場に参加していただくためには、我々の業界だけでなく、全ての産業でDEIを推進する必要性は今後も変わらないと思っています。

4年前の第一次トランプ政権誕生の際のブログに私は前任のオバマ前大統領との比較で以下のように記述しています。

「トランプ大統領は就任早々に排外主義的政策を次々に実行して大きな反発を受けていますが、選挙戦当時から、マスコミへ対応を含め攻撃的な言動が多く、演説の良し悪しのみを比較すると、圧倒的にオバマ前大統領が優れていたのではないでしょうか? 勿論、実務者として優れているかどうかが重要で、演説巧みな政治家が良いということはないのですが、私は理想論として、世界No.1の超大国アメリカ合衆国のリーダーは、「自国の国益」を第一に掲げる実利主義者よりも、「世界の民主主義の理想」を掲げる人であって欲しいと思います。」

4年前と異なり、現在欧州などの極右政党の躍進や権威主義国家の力による現状変更など、トランプ氏だけではなくポピュリズム(大衆迎合主義)の勢いが世界中に広がっています。長引くインフレや貧富の格差拡大が政治不信を引き起こしているとの指摘はありますが、独裁国家でない国家元首にはトップとしての「品格」…「自利」のために「他利」を優先する精神を持っていて欲しいと思います。

私たち民間の人材ビジネス・介護事業者は、「企業」「派遣・介護スタッフ」「利用者様」という人に対する「他利」を実行することが自らの利益に繋がる企業です。世界で排外的思想が広がっていますが、「他利」の精神が会社の成長に繋がると信じて事業運営をしてまいります。

日本リック株式会社
代表取締役 日高一隆

最近の投稿

「自利」と「他利」
新年あけましておめでとうございます
人が集まる企業
事業運営の考え方

社長コラム一覧