加速する少子化

前年2022年の出生数が79.9万人と7年連続で過去最少を記録したと厚生労働省から発表がありました。少子化が想定より更に加速したことで、日本の人口はかつてないレベルで減少しています。自然増減数は昨年1年間で78万人減少し、ほぼ山梨県全ての人口が減ったことになります。

岸田首相は「異次元の少子化対策」を打ち出し、子供関連の予算を「倍増」するとしています。しかし、出産可能な年齢層の人数が減っている中で、人口減少を止めるのは容易ではありません。急速な少子化は年金・医療制度を大きく揺るがし、現役世代の働き方にも大きく影響を及ぼします。

昭和初期に多くの企業が55歳定年を導入してから1986年に高齢者雇用安定法が施行され60歳定年が義務化されるまでの期間は約60年。その後の65歳までの雇用確保が義務化されるまでの期間は15年間。更に一昨年には、70歳までの就業機会確保が事業主には努力義務化され、以前よりハイペースで改正を重ねています。急激な少子化と先進国では1/2の人が100歳を超えて生きる「人生100年時代」の到来と併せ、働く人にとっても新しい人生設計が必要とされています。

私の会社員時代の複数の知人も60歳を迎え、定年再雇用で勤務してします。過去の法改正の経緯を踏まえると、この人達が65歳に達する前に70歳までの義務化が成立する可能性も否定しきれません。

当社でも、介護事業部で登録ヘルパーとして勤務いただいている職員の方や、人材サービス部門の派遣スタッフとして勤務いただいている60歳以上の方は、以前に比較するとかなり増えています。日本の生産性人口(15~64歳)は、1995年のピーク時より既に1,000万人程度少なくなりました。

最近では日本で生活する外国人が増加を続けるとの報道もあります。人材サービス企業・介護事業者としては、高齢者はもちろん、今後はより様々な人達に活躍していただかなければ事業活動が回らない社会がすぐそこに迫っています。人材獲得競争が激化する中で、企業は多様な人材を採用し、様々な人達が活躍できるように公平で包括的な職場を作る必要があるでしょう。我々が最前線にいる労働力問題に特効薬はありません。革新的な思考と行動力で、少しでも社会の課題解決の一助に取り組んでいきたいと思います。

日本リック株式会社
代表取締役 日高一隆

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