狡猾と戦略と人心掌握

1年程前に木下昌輝さんの「宇喜多の捨て嫁」という小説を読みました。特に思い入れがあったワケでもなく手に取ったのですが、実在人物の時代小説でありながら描写が過激な部分もあり、歴史小説とは少し違う作品という印象を持ちました。一方でそれまで「狡猾で悪人」位の認識だった主人公「宇喜多直家」に関心が沸き、このところ直家を主題とする他の本を更に読んだ位、記憶に残る面白い小説でした。

宇喜多直家は、備前国(現在の岡山県)の戦国大名、中国地方の三大謀将として名が知れた人物です。策謀に長けて主君の浦上宗景を二度裏切り、浦上と敵対していた毛利輝元が有利と見るや配下となります。死去する前には、天下統一を目指す織田信長が有利と見て、織田家臣の羽柴秀吉に就き、輝元を裏切ります。以前の大河ドラマ「軍師官兵衛」では、陣内孝則さんが、羽柴か毛利か、どちらの陣営に就くか旗色を明らかにせず、人をバカにしたような宇喜多直家を演じていました。

しかしながらこの宇喜多直家、一方では自身の家臣は非常に大切にしており、敵対する相手を様々な手段で陥れていながらも、自らの家臣を粛清した事は無く、譜代の家臣たちは、終生直家を裏切る事無く支え続けたと言われています。自らも状況に応じて家臣と同じように耕作や節食もしたという逸話も残っています。狡猾・悪人であったのは戦国時代を生き抜く為の戦略であり、名君とは程遠いものの、実は、人心掌握に優れた人間であったとも考えられます。

我々、スタッフの皆様・介護利用者やご家族の皆様等、多くの人に関わる企業として人心掌握は重要なテーマです。心理学のテクニックのようなイメージもありますが、基本は人に喜びを与えることによって、安心・信頼して貰えることが人心掌握ではないでしょうか。宇喜多直家は、身内には人心で、外敵からは謀略で乱世を生き延びましたが、日本リック株式会社は、全ての働く人により良い環境を提供して、働く人の喜びを自分の喜びとする会社であることで成長を続けたいと思います。

近江商人商売十訓
商売は世の為、人の為の奉仕にして、利益はその当然の報酬なり

日本リック株式会社
代表取締役 日高一隆

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