人口減少社会と外国人労働者

毎年8月の夏季休暇は、友人とゴルフを兼ねた旅行に行っています。軽井沢や八ヶ岳の観光地に行くことが多いです。改めて眺めてみると、以前は大都市のサービス業や郊外の工場が中心だった「外国人労働者」を、最近では、こういった観光地でも見かけるようになりました。現状は、アウトレットのようなインバウンド需要に対応する人材が多い印象ですが、都市部より更に深刻な「人口減少」や「少子高齢化」の進む地方にとって、貴重な労働力としての外国人活用が始まっているようです。

今年4月に「改正出入国管理法」がスタートしました。それまでの同法律では、外国人労働者の受け入れは、医師や外交・研究などの高い専門性を持つ職種のみを対象とし、それ以外の職種は、1993年に導入された「技能実習制度」が主な受け入れ方法でした。技能実習制度は、開発途上国の労働者に我が国の技術や知識を学んでもらい、本国の発展に生かして貰う「国際協力・貢献」のための制度です。多くの導入企業は、法の趣旨に則した運用をしていますが、一部、安価で使い勝手の良い労働力として活用してしまった側面があり、低賃金・長時間労働だけでなく実習生の失踪等、数多くの問題も指摘されています。この対策と併せて、深刻な人出不足が続く業種の補完として、新しい在留資格を創設した法律が「改正出入国管理法」です。

2008年の「リーマンショック」が起こる前の人材派遣派遣業界では、主に製造業の工場への労働者を大量に派遣して、売上を伸ばした会社が数多くありました。大量の受注に応えるため、工場周辺だけで人が集められないと、周辺地域に留まらず、それ以外の地域に足をどんどん延ばして、沖縄・北海道に至るまで人材確保の対象地域を広げていきました。

その後のリーマンショックで、多くの方々が職を失い、労働者派遣そのものに未だネガティブな印象が残る現在、このところの人出不足で状況がどう変わってきたのか・・・国内での採用が厳しくなる中、インド・ブラジル・バングラデシュと人材確保のステージが次々と変わってきたようです。当社には改正出入国管理法の対象となる派遣スタッフや介護職員は存在しませんが、対応が必要になる人材サービス・介護事業所は数多くあると思われます。

人口減少が進む日本において、外国人労働者の受け入れなくして、将来の日本社会を維持していくことは難しくなっています。不足する労働力を補完するため、外国人の活用は推進するべきであると考えますが、技能実習制度の問題点でもあった「安価な労働力」の確保という点においては賛成しかねます。日本で勤務して、日本人と同じ仕事するのならば、同じ労働条件で雇用するべきです。人材サービス会社は雇用の創造が使命であり、たとえ外国人であっても、社会的弱者を作るような企業であってはならないと思います。全ての労働者も、それを受け入れる企業も、ともに豊かに暮らせる社会を実現する必要があるのではないでしょうか。

日本リック株式会社
代表取締役 日高一隆

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