7月20日投開票の参院選では、与党は衆議院に続き、参議院でも過半数を割り込みました。自民党を中心とする政権が衆参両院でともに過半数を下回るのは、結党以来初めてのことです。
与党に代わって多くの議席を伸ばしたのが国民民主党と参政党です。参政党の躍進には、外国人への厳しい対応や「自国民ファースト」といった反グローバル化の世界的潮流が、日本にも波及している印象を受けました。アメリカのトランプ大統領による「アメリカンファースト」の影響もあったのでしょうが、欧州でも近年、極右政党が軒並み勢力を伸ばしています。
近年の日本は労働人口の減少を補うために、高齢者・女性、そして外国人の受け入れを進める政策へと舵を切っています。そのことへの反発もあるとは思います。また、コロナ禍で一時的に減少した訪日外国人旅行者は、昨年には3,687万人と過去最高を記録し、今年もそれを更新する勢いで増え続けています。多くの観光地ではオーバーツーリズムによる課題が山積しており、解決に向けた対策が求められています。これもまた、外国人排斥の声が高まる一因となっているように思います。
しかしながら、急激な労働力不足や膨らむ社会保障費など、日本は高齢者の活用や子育て支援を含め、多方面で対策を講じなければ国家財政の維持が困難です。実際に、都市部・地方を問わず、すでに外国人労働者なしでは事業運営が成り立たない業界も存在しています。外国人とどのように協働体制を築いていくかが、今後の課題だと考えます。
外国人観光客が増え、人が変わると同時に街の風景も変化しています。企業の競争力向上にはダイバーシティの推進が必要とされますが、別の側面から見ると人口減少・超高齢化社会を迎える日本において、新たな労働力を確保するためにダイバーシティの推進が不可避な状況とも言えます。
その実現の第一歩は、既存の労働市場に参加している私たちの意識改革です。お互いの特徴を認め、足りないところは補い、良いところは伸ばし合う、寛容な国民・企業でありたいものです。
日本リック株式会社
代表取締役 日高一隆