失敗の本質

3度目の「緊急事態宣言」の発令となる前日、2021年4月24日の日本経済新聞には、日本のコロナウィルス感染症の対応について、かなり厳しい批判の記事がありました。

「1年間何をしていたのか」 政府・自治体首長・そして医療界はこの1年あまり何をしていたのか。菅義偉首相が1都府県を対象に3度目の緊急事態宣言を出したのは、医療の提供能力が感染の増大に追い付かなくなったためだ。感染第1波の昨春から、まん延防止等重点措置を適用したこの4月までを通じ、結果としてこれら3当事者が責を果たしたとは言い難い。

更に翌25日の同紙のコラム「春秋」では、

先進国の中でも最低のワクチン接種率や改善しない病床の確保に対し、太平洋戦争、バブル崩壊に続く「第3」の敗戦であり、軍事・経済・医療と分野は違うが共通点がある。縦割りの弊害・始めたらやめられない組織・・・日本の構造的な問題を指摘していました。

以前、第二次世界大戦の日本軍の敗戦を日本の組織的特徴からの視点で捉えた「失敗の本質」を読んだことがあります。1991年に文庫本として発売され、当時の自分にとっては内容が難解で、記憶が曖昧なのですが、多くの方がバイブルとしていることでも有名な書籍です。バブル崩壊後や東日本大震災での対応ミスの際にも本書が引き合い出され、日本の組織的特徴が今なお受け継がれていると指摘しています。

数多くの視点から2点のみ引用します

1.日本海軍の名戦闘機「零戦」は部品1点にも軽量化の工夫が随所に凝らされた、改善努力の結晶であった。しかし、防弾装備を省いてまで実現した軽さが、米軍の進化で空戦の優位を失った時、日本軍は方向転換をする決断ができず、撃墜され続ける状況を変えられなかった。

2.日露戦争で勝利した日本軍は、その戦闘方法を「型として伝承」し学習させたため、大東亜戦争では時代遅れの戦術に固執することになり、戦局の変化に対して新しい創造ができなかった。

我々も日本企業の一員として組織を批判することは本意ではありませんが、経済危機の際においての教訓という意味で頭の中に入れておくべきことと考えています。

日本リック株式会社
代表取締役 日高一隆

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